星の王子様を読んだ。

これを10年前に読んだのなら、大して面白いとも思わなかっただろう。5年前は、何があろうとそもそも読む気になれなかっただろう。3年前に読んだのなら、恥ずかしくてどうしようもなくなっていただろう。2年前に読んだのなら、それが間違いだと気づかずに鬼の首をとったような気持ちになっただろう。去年なら、そうは言っても、そういう生き方を理解してくれる人なんていないのだから、意味がないと嘆いただろう。

名作といわれているから、という理由で、いつか読んでみようとずっと思っていた本だった。それを、他のいつでもない今読んだというのは、なんだか不思議な事のように思う。


そうだ。自分にとって何が大切なのか、俺はなんとなくわかっていたし、わかっているし、わかってきた。高校で部活を引退して、浪人とかひきこもりとかして、大学に通うようになって、バイトを始めて・・・またはそれ以外の場でも。世間というか社会というか、とにかくそういうものに対していつもイライラしてきた。高校受験になって、俺がどうしても受験勉強をやる気になれなかったのは、どうして夢もやりたいこともないのに、ただいい大学へ、いい就職へ、なんてことのために、意味のない勉強をやらなければいけないのかがわからなかったからだ。周りが煽るのもイライラしたし、当事者たちがそれに問題意識を持っていないようだったのも納得がいかなかった。

もちろん、勉強しなけりゃ選択肢は狭まるのだから、何もやりたい事が無いのなら、いつかそれが出来たときのために勉強するのはいい事だと思う。そうやって理由はつけられるけど、でも実際は、あの時人間の価値はまるでそれで全て決まってしまうかのような空気だった。

大学の教授は言う。「これを知っとかなきゃ世間でバカにされますよ」「今勉強しなければ、社会に出てから困りますよ」ドラッカーは、会社が利潤のために行動する事によって社会に寄与すると言った。ある部分では政府が規制しなければならないとも言った。しかしそんな事は、俺には見せかけのようにしか思えない。

何より、彼らが本気でそう思ってる事がバカバカしかった。

と言って、俺に何か夢があったとか大切なものがあったとかそういう事は一つもない。けれども、そんな今までさんざんウンザリしてきたことが、少なくとも無条件で正解なのではないと、はっきりわかってきたことが良かった。

そんな事は、他の皆にしてみれば当たり前の事なんだろうか。そういう気もするし、そうじゃない気もする。ともかく、これでようやく自分で決められる。俺はもう、無意味な記号に付き合わなくて済む。

コメント

オッサン
グレムリン斉藤
2007年5月8日19:31

ご無沙汰してます。元気そうでうれしいです。またよろしく。

どーる
どーる
2007年5月8日23:26

またお約束かましてしまいました。禁煙成功おめでとうございます。

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